ROOTS of 810s
ムーンスターの靴づくり VOL.7
2023SSコレクションで登場したALLPE MODI(オルパ モディ)は、ユニバーサルデザインの心地よさをデイリーユースに落とし込んだサンダルです。ルーツとなる介護用シューズや2021SSの前身モデルであるALLPEから改良した点について、デザイナーが語ります。
ー2024.5.10 UP
可変的なベルトであらゆる人にフィットする コンフォート性を追求したサンダルタイプ
可変的なベルトであらゆる人にフィットする コンフォート性を追求したサンダルタイプ
ーALLPE MODIの大きな特徴を教えてください
履く人を選ばないユニバーサルデザインを軸にしながら、よりコンフォート性を重視したモデルがALLPE MODIです。前身となるALLPEの大切なアイコンでもある可変的なベルトは継承し、削り出しのソールユニットやアッパーの仕立てなどのデザインを細かく調整することを意識しました。これによりインダストリアルな印象になっています。また、フットベッドの素材は柔らかすぎると歩行の安定性を損なうため、程よい硬さで弾力性のある素材に改良しているところもポイントです。
足を覆うパーツのステッチワークは3次曲面のラインに更新。
履く人や足の形状に合わせて調節可能なベルトは意匠権も取得。
ソールを新設するにあたっては、歩行中に足が前に滑りにくいよう突起を設け、土踏まず部分には緩やかなアーチサポートを取り入れました。つま先や踵を適度に反らせることにより、つまずきにくく歩きやすいソールになっています。さらに、アウトソールには全面にラバーを採用し、履きやすさと歩きやすさに加えてグリップ性も確保しています。
歩行中の足が前に滑らないよう凸形状を設け、土踏まず部分の緩やかなアーチサポートにより、歩くときの快適性を向上。
ALLPE MODI(左)では、指先と甲部のあたりを軽減させるためパイピング仕様に。
ールーツとなった「PASTEL 406」とは?
ALLPE MODIのルーツとなった「PASTEL 406」は、介護用シューズの中でもフィッティングに特化したモデルです。リハビリシーンを想定した設計で、甲の高さや足のむくみがある方でも簡単に着脱できる甲バンドが最大の特徴です。このベルト構造は、履く人やあらゆる足の形状に対応したユニバーサルデザインの要素を持っており、使い勝手の良さを広く伝えたいということから、ALLPEというサンダルタイプが生まれました。
PASTEL 406はベルトの接着面の広さが特徴的。ALLPE MODIでもデザインを継承。
ー日常生活に馴染む靴に仕上げるためにこだわった点は?
ルーツモデルの機能性や構造を活かすことを前提としながら、スポーツサンダルよりも気軽に着脱ができて、スライドサンダルよりもフィッティングに優れた仕様を目指しました。フレキシブルに調節できる甲ベルトの形状や各サイズの太さや長さなども、検討を重ねながら現在の形に辿り着きました。
ベルトを外すことができるという利点を活かし、2024年春には「810s ADD PARTS」としてベルトのみの販売も実施しました。ユニバーサルデザインでありながらも、カスタマイズすることでパーソナルに楽しめるのも魅力のひとつといえます。第1弾はカラ―バリエーションとしての展開でしたが、今後は実用的な要素もプラスしていければと考えています。