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ムーンスターの靴づくり VOL.3

2022SSコレクションのEDU(エデュ)と、2020FWコレクションから続くUNIVE(ユニーヴ)。
EDUは学生用の上履きとして親しまれてきたロングセラー「BIO LT」、
UNIVEは機能性に特化した介護用シューズ「PASTEL 403」にルーツがあります。
ここではルーツとなるシューズを紐解きながら、それぞれの特徴をデザイナーが語ります。

ー2022.5.13 UP

通気性に優れ、
クッション性とグリップ性を備えた
室内屋外兼用スリッポン

通気性に優れ、
クッション性と
グリップ性を備えた
室内屋外兼用スリッポン

ーEDUの大きな特徴を教えてください

アッパーがオールメッシュで、非常に優れた通気性をもつスリッポンです。履き口には補強のためにシンセティックレザー(合成皮革)を使用し、脱げにくいように甲部にはゴムをあしらいました。

ソールには爪先を保護するトゥガード、踵をサポートするスタビライザー、クッション性のある厚めのインソールを備えているほか、ラバー製のアウトソールには滑りにくい波型の意匠を採用してグリップ性を高めています。また、アウトソールは床に色や跡がつくのを防ぐノンマーキング仕様です。

カラーバリエーションはブラックとベージュの2色

ールーツとなった「BIO LT」とは?

強度を考慮して少し目の詰まったメッシュ素材を使ったシューズで、通気性がよく、学生用の上履きとして親しまれてきたロングセラーです。
ソールはムーンスター独自の素材で、衝撃吸収性に優れた「ベステック」を使用。踵には、これも独自に開発した低反発衝撃吸収素材「アブソレン」を搭載しています。おなじみの綿布の上履きに、より機能性をもたせたシューズですね。

綿布の上履き(写真左)に、より機能性をもたせたのが、EDUのルーツモデル「BIO LT」(写真右)

通気性や涼しさ、軽さなど、春夏のシューズに求められること、現在スニーカーに求められていることを総合的に考えたときに、ルーツモデルとして浮かび上がったのが「BIO LT」。いま作りたいものと自社のルーツを掘り下げて見つかった高い機能性が合致して、「BIO LT」の機能性をエイトテンスとして再構築することでEDUが完成しました。

ー日常生活に馴染む靴に仕上げるためにこだわった点は?

高い通気性を確保しながら、メッシュが悪目立ちしないよう気をつけました。メッシュの穴を丸にしたり楕円状にしたり、完成までいろいろと試行錯誤しましたね。

アッパーに大きな網目のメッシュを使用した試作品

エイトテンスのコンセプトは、暮らしに馴染む“日常の道具”。主張の強い“主役”ではなく、愛すべき“脇役”として、使い勝手のよい道具でありたいと考えています。目を引く装飾などを入れず、ころんとした親しみやすいフォルムのシンプルなデザインに仕上げました。また、厚めのインソールを入れたことでソールに程よいボリューム感がでて、全身のバランスが取りやすいシューズになりました。

室内屋外兼用なので、オフィスでの室内履きにもぴったりだと思います。履き心地がよくリラックス感のあるシューズですが、ミニマルなデザインとベーシックな色味なので、来客時などにも足元が浮きません。そのほか、シンプルでトレンドに左右されない“日常の道具”として、さまざまなシーンや着こなしに合わせていただきたいですね。

EDU商品について

ユニバーサルデザインに基づいた
高い機能性と心地よさを 日常にもたらすスニーカー

ユニバーサルデザインに
基づいた
高い機能性と心地よさを
日常にもたらすスニーカー

ーUNIVEの大きな特徴を教えてください

足を包み込むつくりが最大の特徴です。大きな面ファスナーを配したフルオープンタイプで、履きやすく脱ぎやすく、足に心地よくフィットします。面ファスナーをできるだけ大きくして、好みの位置で留めることができ、フィット感を細かく調整できるようにしました。

アッパーには、足へのなじみやすさと生地の強度をあわせもった、織り感のあるポリエステル素材をメインに使用しました。ルーツとなる介護用シューズは主に室内用ですが、屋外での着用を想定したUNIVEでは、グリップ性を考慮して、アウトソールには大きな凹凸のあるラバーを採用。

カラーバリエーションはアイボリー、グレー、ブラックの3色

ールーツとなった「PASTEL 403」とは?

足あたりが優しく、非常に軽量な介護用シューズです。履きやすさ以外に、“履かせやすさ”を考慮したつくりで、履き口が大きく開き、足を入れやすいのが特徴。むくんだ足や外反母趾にも対応するよう、面ファスナーでフィット感を調整できたり、やわらかな素材を使ったり、親指のあたりに縫い目を入れないなど、さまざまな工夫が凝らしてあります。つまずきにくいように、つま先にはしっかり角度をつけたトゥスプリングも備えています。機能性を形にした、ユニバーサルデザインのシューズですね。

UNIVEのルーツモデル、「PASTEL 403」

この機能性を介護用シューズというカテゴリーを超えて、より広い層やシーンに向けていかすことができないかと考えたのがUNIVE開発のきっかけ。「PASTEL 403」は基本的に室内用で、長時間の着用を想定していませんが、UNIVEでは屋外である程度の時間履くことを考えて、厚さのあるしっかりしたソールを備えています。

ー日常生活に馴染む靴に仕上げるためにこだわった点は?

足を包み込むつくりで、フルオープンという構造の特徴がそのまま伝わる、素直なデザインを心がけました。かつ、突飛な印象に見えないように。特に注意したのは面ファスナーの分量ですね。大きなパーツなので、それが強く主張しないように試作を重ねました。足あたりに配慮して履き口の素材を変えたり内側にパッドを入れたり、やわらかなポリエステル素材と起毛調のシンセティックレザーを組み合わせてデイリーな着こなしに馴染むルックスに仕上げたりと、機能面もデザインも細かな部分までこだわりました。

UNIVEは、「PASTEL 403」のもつユニバーサルデザインの心地よさをデイリーユースのシューズへと落とし込みながら、アクティブなシーンも想定しています。
クッション性のあるミッドソールを採用しているほか、アウトソールの意匠を角度のついた形状にすることで、泥や砂が入り込みにくく、入っても出やすいデザインに仕上げげました。

エイトテンスでは、ルーツとなるモデルに込められた工夫を継承しながら、“日常の道具”としての役割をしっかりと果たすプロダクトを提案していきたいですね。

UNIVE商品について

ROOTSムーンスターの靴づくり

#エイトテンス