ROOTS of 810s

製品開発ストーリー

「810s PRACTICAL(エイトテンス プラクティカル)」は、日々の仕事にちょうどいいフットウェアを提案するプロユースラインです。
そもそも810sとは、各プロダクトごとにルーツモデルが存在し、専門職向けの靴づくりのノウハウを日常で使いやすい道具へと再構築したデイリーユースライン。そんな810sのフィロソフィーを素に、そこからさらに現場で働く人たちに向けてアップデートしたプロユースラインが810s PRACTICALなのです。

もっとも重視したのは、PRACTICALという言葉どおり、実用的であること。メインユーザーである多様な職種の方々の協力のもと、ヒアリングを重ねながらモニター調査を実施。その結果、それぞれの現場でのパフォーマンスを足元から支える、タフでありながらも洗練されたワーキングシューズが誕生しました。製品開発時のポイントやエピソードについて、デザイナーが語ります。

ー2025.4.28 UP


STYLE:Kitchen Shoe

ET-P001

水場に強く普段の手入れも簡単 機能美を兼ね備えたスリッポンタイプ

ーET-P001の特徴を教えてください

厨房での作業を安全かつ快適にサポートすることを考慮したET-P001は、油や水に濡れた床面にも強いマルチストッパーソールを採用しているほか、2層構造のインソールで長時間の立ち仕事を快適にすることを目指しました。アッパーの内側にストレッチを設けることで脱ぎ履きをしやすくしつつも、踵はしっかりホールドします。

PRACTICALライン(ET-P001、ET-P002、ET-P003の3型)に共通するのが、取り外し可能な2層構造のインソールと、パンツを穿いたときに裾から覗くように計算されたサイドの控えめなロゴです。機能性や耐久性を追求するとともに、休憩時の外出や来客時などのシーンにも対応できるスマートなデザインを意識しています。
また、ユニフォームとして使われる場面を想定し、ネームタグは極力目立たないようインソールに取り付けました。

ーET-P001が生まれるきっかけとなった「KITCHE」と、そのルーツである「KITCHENSTAR 01」とは?

厨房靴としての機能を保ちながらも、コートスタイルの日常履きとしてリデザインされたKITCHE(キッチェ)は、ロングセラーのキッチンシューズであるKITCHENSTAR 01がルーツです。プロユースラインであるET-P001は、KITCHEのデザイン性とルーツモデルの優れた機能を掛け合わせたキッチンシューズを作ることはできないだろうか?という試みから誕生しました。

左)「KITCHENSTAR 01」  右)810s 「KITCHE

810s PRACTICAL「ET-P001

ーET-P001を開発していくなかで重視した点は?

厨房で使用する靴の場合、アッパー部分に装飾があるとどうしても汚れてしまいがちです。そこでET-P001では、アッパーの切り替えを敢えてシャープな印象のアクセントとなるよう目立たせるようにし、生地の重ね方を工夫することで汚れが溜まりにくく手入れがしやすくなるような設計にしています。

ひと言で厨房といってもさまざまで、フロアやバックヤードを行き来する業態も多いことから、中華料理店やレストラン、カフェやバルといった複数の飲食店でサンプルテストを実施しました。洗練されたユニフォームとして履いた際の佇まいを意識し、ロゴの配置や見え方については、モニター調査で多くいただいた現場の方々のご意見を参考にしながらデザインに反映しました。

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STYLE:Kitchen Shoe

ET-P002

脱ぎ履きがスムーズなサボタイプは 屋内外の行き来が多い仕事にも最適

ーET-P002の特徴を教えてください

ET-P001と共通した機能を持つET-P002は、サボタイプであることから幅広い業種の方にもご利用いただけると考えています。厨房靴としてはもちろん、室内や外を行き来する脱ぎ履きのシーンが多い現場、たとえば旅館やホテルなどで働く方にも適した1足です。接客の場面で人前で履くことを想定し、アッパー部分は立ち姿がすっきりと見えるよう整えました。

靴の内側には通気性に優れた素材を使い、エアホールを設けることで空気が循環し、湿気や蒸れを軽減させる仕様になっています。ET-P001に比べ水場以外での使用範囲が広がることを考慮し、エアホールは内側と外側に設けているのも特徴です。またPRACTICALラインに共通して、インソールにはAg+抗菌防臭機能を搭載しました。

ーET-P002が生まれるきっかけとなった「CAF」と、そのルーツである「KITCHENSTAR 02」とは?

ロングセラーの厨房靴である「キッチンスター」のサボタイプ、KITCHENSTAR 02をデイリーユースに落とし込んだのがCAF(カフ)です。

左)「KITCHENSTAR 02」  右)810s 「CAF

810s PRACTICAL 「ET-P002

企画課のスタッフがある宿泊施設を訪れた際、宿舎スタッフの方がCAFを履いてくださっていて、このような現場で働く方々に適したシューズを作りたいと考えるようになりました。手を使わずに履けるスライド仕様は脱ぎ履きが多い環境に適しているので、厨房や食品工場などの職場以外でもご活用いただけるのではないか、との発想から生まれたのがET-P002です。

ーET-P002を開発していくなかで重視した点は?

ヒアリングさせていただいた際、アッパー素材が長持ちするぶん、どうしても中敷きが消耗してしまうといったお声をいただきました。そこで、取り外し可能なインソール仕様にすることで、中敷きが消耗しても交換して使い続けられるようにしています。さらにインソールはクッション性を向上させた2層構造にして、長時間の立ち仕事の快適性をアップデートしました。踵の黄色い部分は「ハイパークッション」という素材で、衝撃吸収性と反発弾性に優れています。

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STYLE:Medical Shoe

ET-P003

踵のストレッチ素材で2WAY仕様に 機能性を重視したスリッパとしても

ーET-P003の特徴を教えてください

医療現場での使用を想定したET-P003は、シンプルなデザインのなかに安全性や手入れのしやすさを考慮したモデルです。清潔な状態を保ちやすいよう、耐久性に優れ手入れがしやすい合成皮革で甲部分をカバーし、内側は通気性の高い2層構造のメッシュで蒸れを軽減させることを考慮しました。

ヒアリングやアンケートの結果、医療現場では歩き回ったり脱ぎ履きしたりする場面も比較的多いことがわかり、踵部分にはホールド性の高いストレッチ素材を使用し、踵を踏むことでスリッパとしても利用できる2WAY仕様に仕上げています。

ーET-P003が生まれるきっかけとなった「HOSP」と、そのルーツである「OMOIYARI 510」とは?

医療現場の声を反映したナースシューズ、OMOIYARI 510にルーツがあるHOSPは、踵を踏んでスリッパのように履くことができる2WAYタイプの仕様と大きな甲バンドが特徴です。ET-P003では、医療用シューズとしての機能性をより高めながらシーンに馴染むような、シンプルかつミニマルなデザインを意識しました。

左)「OMOIYARI 510」  右)810s 「HOSP

810s PRACTICAL 「ET-P003

ーET-P003を開発していくなかで重視した点は?

医療現場には、医師や看護師、受付や事務といった多様な職種があるため、それぞれの方が求める機能を1つのアイテムでどこまでカバーできるかが肝でもありました。ゆえに、一人ひとりの方からの声がひじょうに重要でした。
現場のみなさんが共通して挙げられていた通気性の良さや疲れにくさ、脱ぎ履きのしやすさをポイントに、「薬剤や血液などが侵入しにくい素材なのがうれしい」といったHOSPのユーザーである看護師の方からの意見も参考にしながら、現場に相応しい素材を選んでいます。

プロユースのアイテムであることから、モニター調査ではユーザーの方々にさまざまなご意見をいただきながら、より良いアイテムを作り上げるべく試作を重ね、じゅうぶんに磨き上げることができたと思っています。

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STYLE:Medical Shoe

ET-P004

介護者と被介護者、双方に寄り添う デザイン性に優れたケアシューズ

ーET-P004の特徴を教えてください

ET-P004は、ムーンスターの考えるユニバーサルデザインのノウハウが随所に宿った介護用シューズです。介護をされる方にとっては快適な履き心地を、介護をする方には履かせやすさを実感してもらえるよう、双方に寄り添った使い勝手の良いシューズを目指しました。

スライドインの踵構造でバンドを閉じた状態でも簡単に履くことができ、面ファスナーを配したフルオープンの構造で脱ぎ履きがしやすいのが大きな特徴です。また、医療従事者向けをベースにしながら、ET-P003よりもさらに通気性を追求しました。
見えないところでは、たとえば装具を付けたまま中敷きを外した状態で履くときに、靴下が傷まないようメッシュ素材を設けていたりもします。

ーET-P004が生まれるきっかけとなった「UNIVE」と、そのルーツである「PASTEL 403」とは?

UNIVEは、軽量かつ機能性を重視した介護用シューズ「PASTEL 403」にルーツがあります。足あたりがやさしく、全体を包み込むようなつくりになっていると同時に、いずれも履き口が大きく開くので足を入れやすいのが特徴です。

左)「PASTEL 403」  右)810s 「UNIVE

810s PRACTICAL 「ET-P004

ーET-P004を開発していくなかで重視した点は?

モニターの声で多かったのが、普通の靴のような見た目の介護用シューズがまだまだ少ないということです。装具を付けた状態で履く必要がある方の場合、さらに選択肢が限られます。ゆえに、できるだけ幅広い方に履いていただける介護用シューズを考案しました。

ET-P004の根底にある思いとしては、介護をする人、される人が分け隔てなく利用できるスタイルを実現したいといったものでした。
介護の現場に携わる人からの「普段UNIVEやHOSPを履いている」という声や、被介護者の方からの「いかにも介護用だと抵抗があるので、機能性だけでなくデザイン性を整えたものだと履きやすい」といったコメントも開発のきっかけになっています。

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810s PRACTICAL

#エイトテンス